会社を辞められない!言い出せないあなたが安全に退職できる方法

今回は求職者から相談が多い、
「転職先は決まったが、上司にどう切り出して良いか分からない」
「お世話になったので言い出しにくい」
「どうやら簡単に辞めさせてもらえなさそうだ」
「会社から脅されていて辞められない」
という方に対する退職の切り出し方をお教えします。

実は退職の切り出し方にはいくつかのコツがあり、それらを気をつければ意外とあっさり退職することができます。
逆に退職の仕方を知らないと、最悪の場合会社から脅されて転職のチャンスを失ってしまうことすらあります。

ここでは、採用担当と転職コンサルタントを経験し、弁護士と共に退職を勝ち取った経験もある私が、自身の経験をもとに退職の切り出し方と、退職させてもらえない場合の対処法をお教えします。

退職届提出の時期

最初に退職を決めた場合に、退職届をいつ出せばいいのかをお教えします。
ただ、ここでトラブルに巻き込まれることが多いため、まずは「退職の自由」についてお話しします。

退職の自由について

多くの会社は退職の1ヶ月前に退職の申し出をするように就業規則か労働契約で定められています。

しかし、退職の相談にこられる方の中には「会社が辞めさせてくれません……どうしたらいいでしょうか?」という方もおられます。

「辞めたら損害賠償を請求するぞ!と言われました……」
「辞めたくて、退職願を出したのに何度も呼び出されて辞めさせてもらえないです」
「就業規則に退職届を出すのは3ヶ月前だと書いてあると言われ、受け取ってもらえないのですが」

このようなことを言われ辞めさせてもらえないことがあります。

これらの相談にお答えしているのは「辞めるのは労働者であるあなたの自由です」ということです。
これは、法律に定められていることでもあります。

退職の自由は法律でも認められている

まず、退職というのは、あなた(労働者)と企業(使用者)が交わしている労働契約を一方的に解除するということです。
これに対し、あなたと企業が合意して労働契約を解約する場合は、合意解約です。
逆に企業側から解約される場合は、解雇です。

先ほど、辞めるのはあなたの自由であるとお伝えしましたが、その原則は民法627条1項で規定されています。

民法627条1項
民法
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
627条
1 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する。

ここに規定されているように、雇用期間に期限の定めのない労働契約、いわゆる正社員として契約している場合、
各当事者(あなたと企業)は2週間の予告期間をおけば「いつでも=いかなる理由があっても」解約できるとされていて、解約の自由が原則とされています。

退職の自由が認められる理由

民法の規定としては、このように契約当事者双方に対して「解約の自由」を保障した形になってはいます。
ですが、企業側からの一方的な解約である解雇は、経済的/社会的に企業よりも圧倒的に弱い立場にある労働者に与える打撃がいちじるしく大きいため、労働法規による規制で、大きく修正されています。

これに対し、労働者側からの解約である辞職は、職業選択の自由(憲法22条)や、奴隷的拘束の禁止(憲法18条)という憲法上の人権が保障されていることから、修正を受けることなく原則として認められているのです。
ですから、あなたからの退職の意思表示が企業に到達してから2週間を経過すると労働契約は終了させることができます。

就業規則/労働契約での特記について

この予告期間ですが、最初に普通は1ヶ月と書いた通り、企業側が就業規則や労働契約において2週間より長く定めているケースがあります。

ですので、1ヶ月と書いてあれば円満退社を目指すならば1ヶ月の猶予を見るのが良いでしょう。

しかし、特段の必要性もないのに1ヶ月を超えるような長期の予告期間を設ける規定は退職の自由を不当に拘束するものとされて、その規定は無効となり、民法上の2週間を経過すれば労働契約は終了すると判断されています。

ですから、就業規則に「退職する3ヶ月前に退職したい旨を申し出ること」と書いてあってもこちらは無効です。

それでも辞めさせてもらえない場合

このように法律で定められているにも関わらず退職させてもらえないケースがあります。
例えば「辞めるならば損害賠償を請求する」と言ってきたり、
「引き継ぎに不備があった、労働契約上の義務違反あたるから損害賠償をするぞ」と主張したりします。

ただし、ほとんどの場合は脅しです。
なぜなら、争っても企業がが勝つことはできないからです。
裁判になった場合、企業側はあなたの違法行為とその行為に基づく損害を立証しなければなりません。
ですが、あなたは違法行為をしていませんから、そのようなことは不可能です。

法律を熟知していない企業が裁判を起こした例はありますが、損害賠償請求行為自体が不当として退けられています。

また、あなたの会社に対する恩義や、忠誠心、同僚に対する気兼ねなどの気持ちを利用し、
退職に踏み切らせないように働きかけてくるケースもあります。
例えば「おまえが辞めたら、あいつらが苦しむぞ」とか、
「おまえのせいで、あいつらの査定がマイナスになるなー」などのような稚拙な脅しです。

しかし、あなたはあなたの人生があります。
会社側のもろもろの「脅し」を恐れて、身体を壊したり、精神を病んだり、転職の機会を逃したりすることは決して得策とは言えません。

それでも、判断に迷うようであれば転職コンサルタントにご相談ください。
もしくは弁護士への相談が効果的です。

上司への切り出し方

では、労働者は辞める権利があるということがわかったところで退職を切り出しましょう。

誰にどう切り出すべきか?

切り出す相手

最初に退職の話を切り出す相手は直属の上司です。
いきなり社長や部長などに話してしまうと、直属の上司のメンツが潰れるので、直属の上司に話します。
あくまでもまず、直属の上司に対して「ちょっとお話があるのですが」といって時間をとってもらいましょう。

上司に伝えおわった後も勝手に他の人に「俺、辞めるから」などと話してはいけません。

切り出す時期

円満退社を目指すのであれば、引き継ぎや社内外への挨拶、有休消化などを行うためにも1ヶ月前が妥当でしょう。
相手の企業からどうしても早く来て欲しい、などの申し出がある場合は会社と交渉する必要はあります。

また、賞与の時期が近い場合は賞与が確定する前に言い出すのは得策ではありません。
賞与は過去の業績に対する報酬と、今後への期待が含まれるため、賞与額が決定する前に退職を申し出ると査定(支給額)は間違いなく下がります。

どこで切り出すべきか

基本的には社内の会議室で話すのが良いです。
会議室がない場合などは、切り出す場所は一目につきにくく、話も漏れない場所にすべきです。

これは退職が決まる前に話しているところを目撃されたり、聞かれてしまうことで、社内で噂になるのを避けるためです。
なので、上司から時間をもらった際に場所を押さえておきましょう。

どのように切り出すべきか

最初にはっきりと辞めたいと伝える

「お話があります」と上司を呼び出した後は「いついつまでに退職したいです」とはっきり伝えましょう。

声のトーンを普段よりも真剣なものにし、退職が苦渋の決断であるようにするべきです。
真剣な顔を作りづらい人は口の内側で唇の裏側を軽く噛むと顔が引き締まります。

このとき「辞めたいと思っています」「辞めようかなと考えています」のような曖昧な表現を使ってはいけません。

「退職したいです」「辞めたいです」ときっぱり言い切らなければなりません。

退職理由は個人的なことにする

切り出した後、なぜ辞めるのか/辞めた後どうするのかを必ず訊かれます。

これに対しては、法的にも一般的にも「一身上の都合で」でかまわないのですが、それでは納得してもらえないケースが多いです。

もし「一身上の都合で」では受け入れてもらえない場合、理由はなんであれ「個人的なもの」を伝えましょう。
退職を決意する理由の中には、現状に対して何らかの不満があるのは当然のことです。

しかし、いくら辞めるからといって現状の不満を話してしまうと「来年からは改善する」「希望の部署への異動もさせる」「給与も上げる」など口約束で引き留めをしてくる場合があります。

たとえどんな理由だろうとも、不平不満を言わず、前向きな態度で挑みましょう。

納得感が得られる退職理由の一例
現状の職場に不満はありません。
しかし、自分のキャリアを考えたときに、将来的に○○をやりたいと考えています。
そして、そのためには△△の経験が必要だと考えて転職を決意しました。
今の会社では△△の経験を積むことは厳しいでしょうから、△△に特化した企業へ行きたいのです。

などのように、今の会社では実現が難しいことを理由にするのがベストです。

IT業界の相談者では「私はゲーム開発がしたいのです」といってWeb開発の会社を辞めた方もおられました。

引き留めは断固として断る

退職の際に執拗に引き留めをされるケースがあります。

その理由は大きく3つあります。
ひとつは会社にとってあなたが本当に必要とされている場合、
次に「会社に自分の管理能力を疑われる」というような上司の保身、
最後は「社員はなるべく退職させない」という会社の方針によるものです。

引き留めは、昇給や昇進をちらつかせたり、環境改善を約束してきたりするケースもありますし、
「お前を育ててやった温を仇で返すのか!」と言われたり、
「お前なんか他の会社で通用しないぞ?」などと脅されたりします。

しかし、最初に述べたとおり退職の自由は法的に認められた権利です。
ですから、何を言われてもひるまずに、これまでにお世話になったことには感謝をしつつ、退職の決意は変わらないことを告げてください。

もし直属の上司が退職を受け入れない場合は、さらにその上の上司か人事部に相談してください。
最終的には労働基準監督署に相談することも視野にいれます。

退職を申し出た後に、待遇改善などで好条件を提示されて心が揺らいでしまうことがあるかもしれません。
ですが、それでも退職を撤回するべきではありません。

なぜなら、好条件を提示されたからといってそれが実現するかはわかりませんし、実現したとしても未来の評価を先取りしているだけのこともあるからです。

上司へ切り出す際の注意事項

上司へ退職を切り出す際に注意する事項があります。
切り出す際にはこの項目を特に確認してください。

メールでの退職を切り出してはいけない

退職の切り出しはメールではなく必ず対面で行いましょう。
いくら言いづらいからといって、メールで伝えても上司から呼び出され対面で詰められるだけなので、上司との関係が悪化します。
お互い気まずい思いをするだけなので、口頭で伝えましょう。

相談すると切り出さない

話をする時間をとる際に「ご相談があります」というと、退職するかしないかのを相談されているのだと誤解されてしまいます。

そうすると、まだ辞めない可能性もありそうだと受け取られかねないので「お話があります」としておきましょう。

メールでアポをとるなら自然に

上司が直接つかまらなかったり、出張中などの場合、メールやチャットでアポをとることも多いかと思います。

その場合は、退職の話であることは伏せておきましょう。
事前に退職の話だと悟られると先手を打たれて退職を切り出しにくくされることがあります。
会うなりあなたのことをべた褒めして、次の評価が良いことなどをちらつかせたり、以前からの希望が通りそう、新しいプロジェクトが始まる、など予防線を張ってくることがあります。

転職先を答えてはいけない

退職届が受理されても、転職先は言うべきではありません。

転職先のネガティブな情報を吹き込まれたり、相手と取引があった場合に圧力をかけられ転職がなくなるケースもあります。
また、過去には同業他社への転職が決まったケースで、会社側が情報やノウハウの流出などを恐れ、妨害工作を行われた候補者もいました。

最後に

退職に巻き込まれるトラブルへの対処と、切り出し方をお教えしましたがいかがだったでしょうか。

相談者の中にはキャリアアップできる内定を得たのにも関わらず、退職時のトラブルのせいで辞退をしなければならないケースもありました。

あなたはそういったことがないよう、紹介したポイントに気をつけて退職を成功させてください。

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