沈む船からいなくなるネズミのように転職してはいけない

「この会社、ヤバイのでは?」

そのような理由で転職を考える人達がたくさんいます。

特に業績不振や不祥事など、大企業ですらこれらのことが日夜報道されることが増えていますが、こうして辞める人たちの多くは不祥事を起こした会社に所属していながら、ニュースでそのことを知った方が多いです。

要するに、安全な豪華客船に乗船してゆったりしていたはずが、どうやらヤバイ船のようだ、ということを知らされ、そこから急いで逃げ出すネズミのように転職を試みるのです。

不祥事に関して現場の人間が全く知らなかった、ということも少なくありません。

責任者レベルでは把握しているケースもありますが、現場は言われるままに不正に手を染めており、それが不正だと認識していないこともありますし、うまく隠蔽されていることがほとんどだからです。

また業績不振に関しても上場企業では株価への影響を考えうまく隠されています。

末端の人間に話が入ってくるのは外部と同じタイミングということが少なくありません。

そうして、寝耳に水の情報を得た人たちは転職を考えるようになります。

サラリーマンは誰しも給与をあげたいと考えているはずです。

そのため、会社の業績は非常に重要で、利益が出せない会社は給与が上がらないところか、下がるケースすらあります。

そのことに不満を感じたり、将来性を見いだせず、他の企業へ転職したい、と考えた時、それが正しい道なのかをしっかりと確認する必要があります。

沈没船から逃げるネズミのようにどこかへ走り去ろうとして、結果として海へドボンというのでは救われるものも救われません。

近年、日系企業は落ち目だと言われています。

あれほど高いと言われた日本の品質は地に落ち、中国や韓国などに押されて始めているのが現実です。

日本は国際的な競争力に欠ける会社が多く、海外進出に失敗して撤退する、という会社も後を絶ちません。

そのような中、大企業が不正会計や、粉飾決算、コンプライアンス違反などを指摘されるケースが増えてきています。

経営が傾きそうな会社は早期退職者制度を使って退職者を募集したりもしますから、転職エージェントはこれらの企業の従業員に狙いを定めます。

会社の惨状を知って驚いている人たちは悪徳転職エージェントの絶好のカモになります。

1つの会社に長く所属し、転職なんて考えたこともない人達ですから、エージェントに言われるままに転職を決めてしまったりします。

また、会社に騙された、裏切られた、というような感情を抱いている方も多く、一様に「こんな会社では働けない」といったことを口にします。

転職など考えたことがない人々

このような状況で真っ先に転職を考えてしまう人の多くは実は今まで転職など考えたこともない人々で、ほぼ間違いなくキャリアダウンしてしまいますし、新しい会社にも馴染めず転職を繰り返してしまうケースも多いです。

「こんなはずじゃなかった」という思いが強すぎるため、今まで会社に向けてきた忠誠心の反動から、新しい会社に対しても疑いの目を向けてしまい、なかなか仕事に集中できない、ということもあります。

入社した企業で定年退社するイメージで人生設計をしていた人たちのショックはそれほどまでに大きいのです。

しかしながら、会社は終身雇用を保証してくれるものではありません。

そのまま会社が安定的に成長を続けていれば、何も問題はなかったはずです。

それが、業績不振、不祥事、という自分のせいではない理由で突然転職を考える羽目になったのです。

これで冷静になれという方が難しいかもしれません。

こんなことなら、若い頃に転職しておくべきだった、と嘆く方もおられます。

しかし、今そのことを後悔しても何の意味もありません。

例えば、不祥事を起こした会社がいきなり無くなるかというとそんなことはありません。

多くの会社は存続していきます。

2017年6月、超優良メーカーと呼ばれたタカタが1.7兆円の負債を抱え民事再生法を申請しました。事実上の経営破綻です。

エアバッグの分野では世界2位のシェアを誇っていた会社です。

しかし、2008年頃から断続的にリコールが始まり、2015年11月にはエアバッグの欠陥はタカタの責任であるという判断がくだされ、株価も暴落し、会社存続の危機と言われました。

タカタが超優良企業だと信じて疑いもしなかった人たちにとっては非常に不幸な事件でした。

ですが、不祥事が発生して経営破綻するまで1年半以上の月日が流れています。

要するに、明日明後日に会社が倒れるようなことはないと言っても過言ではありません。

もしあなたが渦中の会社に所属しているとしても十分転職を考える時間はあります。

また、転職相談を受けている際も、沈みゆく会社で最後まで残務処理を全うした、という方に出会うこともあります。

多くの従業員が我先にと会社を去る中で、最後まで責任を持って会社に勤め続けた人には他の人とは違った覚悟が存在します。

企業もそういった覚悟を持った人に対しては高い評価をし、逆境の中でも落ち着き、やるべきことをやったという評価を下されることがほとんどです。

例え会社が危ないのだとしても、まずはしっかりと自分の人生を振り返り、転職と向き合ってみることが大切です。