裁量のある環境で働きたいですか?裁量の真実とは

「裁量のある会社で働きたいのです!」

求職者との面談で時折そういったお話をききます。

そんなときは、必ず求職者が「裁量」を何だと考えているか、確認する必要があると考えています。

私が今まで担当してきた会社には裁量がある会社もない会社もありました。

ですから、裁量という意味を勘違いしてしまっている人にも多く出会ってきたのです。

裁量とは仕事を一任されることです。

しかし、勘違いしている人は「裁量=自由に仕事ができること」だと考えているのです。

一任されることと自由に仕事をすることと何が違うのかと感じる方もいるのではないでしょうか。

しかし、それは全く違うものです。

確かにきちんとした裁量労働制を敷いている会社は1秒でも出社すればその日は出社したことになります。

そういうことを聞くと、じゃ、仕事が終わったらさっさと帰っても良いんだ、なんて自由なんだろうと感じるかもしれません。

ですが、裁量の大きさと責任の大きさは比例しているのです。

その仕事があなたに任された以上、仕事を完遂できなければあなたの責任になりますし、やり方に裁量があるとはいえ、すべてのリソースを無尽蔵に使えるわけでもありません。

やり方は任せる、しかし、それが社内で実現できない場合は自分で考えろ、そういうことを課せられているのが裁量のある仕事です。

また、裁量がある仕事を希望する人の多くが大企業ではなく、ベンチャー企業や外資系企業を希望されます。

年功序列の会社では裁量権を持った仕事が出来ないと考えているからでしょう。

しかしながら、最近の会社は社内ベンチャーや事業部の分割、子会社化などを行い裁量権を渡せるようにしている会社もいっぱいあります。

そして、大企業の強みはリソースとネームバリューがあることです。

裁量権のある仕事というのは人材の採用や配置も含めて行うことが多く、潤滑なリソースのないベンチャー企業では人手不足でプロジェクトが回らないこともたくさんありますし、動かしたい人間がいつまでも別のプロジェクトにロックされてしまうこともあります。

ですが、大企業であれば多くのリソースを有していることが多く、最初から目一杯の力を出せることも少なくありません。

裁量と成果主義の関係

裁量がない会社から裁量のある会社へ転職した人たちがまず驚くのが、成果を強く求められることです。

裁量とは「やり方は任せた、しかし結果は出せ」ということですから当たり前なのですが、結果を出すことが出来ないのにも関わらず、裁量権のある仕事に就くと大変な苦労をすることになります。

また、結果は目に見えるものでなければなりません。

評価制度も厳格になっており「今期は○○を頑張ります」というような目的を掲げようものなら、叱責されるほどです。

こうした裁量労働の会社は目標に関して明確に定義せよ、が原則ですので「売上を100%アップさせる」や「コストを50%カットする」などのように「できたかできてないか」で成果を判断されるわけです。

その代わり、コストをカットするために使う手段に関しては任せる、という意味なのです。

しかしながら、コストをカットすれば良い、というだけであれば人件費の削減などを行えば達成できてしまいます。

それで事業部の目標が達成できないのであれば本末転倒です。

裁量労働制に求められるのは効率を確保しながらかつ結果を出せ、ということですから生半可な考えでは実現できないのです。

ただ、裁量労働制の会社は性別や年齢に関係なく出世が見込めるため、できる人たちはあっという間に年収を2倍、3倍に増やすことがあるのも事実です。

裁量労働制に向いている人というのは課題の発見が上手い人です。

ここまでにも書いてきた通り課題が存在しない会社というのはありません。

そして、目に見えない課題が隠れていることによって、目に見えている課題が解決できない、ということも往々にしてあるのです。

これは私が担当した開発職のSさんの話ですが、彼は業界でもかなりのシェアを持っているインターネットサービスの会社に転職しました。

前職は大企業で何をするにも数ヶ月かけて稟議を確認され、スピード感のなさに疲れ果てベンチャーへの転職を希望されたのです。

その会社ではサービスを拡充したいものの、エンジニアの採用がはかどらないという課題を抱えていました。

もちろん、人事部に人は入れてますし採用費もかけていますが、なぜか人が集まらないというのです。

一介のエンジニアであったSさんはそういった課題を耳にし、入社後上層部にある提案を行いました。

「私を人事部に入れてください、そうすれば良いエンジニアをたくさん集めてみせます」と。

この発言を受けてSさんは人事部に配置され、組織改善に着手しました。

このSさん、凄いのは今まで人事部の経験など0だったということです。

そのインターネットサービスの会社は外向けにはイケイケの会社に見えていたのですが、エンジニアに訴求するのであれば「技術への拘りを持つ会社」「技術への理解があり強みを持つ会社」というような対外アピールをする必要があったのです。

人事部主導で行われていた社外へのアピール活動に関しても首を突っ込み、対外的な印象値を変えていくことに成功したSさんは、そのまま人事部の部長というポジションにつきました。

このような例のように、裁量がある会社というのは「○○を達成するから、私をここへ異動させてくれ」のような提案が通る会社のことです。

しかしながら、異動しても結果が出せなければSさんのように評価されることもないのが現実です。

ですが、このSさんのように裁量権のない環境では「俺ならここで成果が出せるのになあ」と考えていてもそこに着手できないでいるような人にとっては天国のような場所であるともいえます。