大手から大手に転職する際の落とし穴

「職場に馴染めない……」

大手企業から大手企業へ転職した方がよく陥る悩みです。

新卒から大手企業で働いている方は、転職でも同規模、もしくはそれより規模が上の大企業を目指す傾向があります。

キャリアアップという名目はあるものの、単にキャリアに箔をつけたい、といったような理由であることも少なくありません。

新卒からいた大手企業から異なる大手企業へ転職する方は多くおられるのですが、長続きしない人に見られる症状として、

「人間関係の構築の仕方がわからない」ということがあります。

どういうことかというと、新卒からその会社にいたということは10年以上のキャリアを持っているわけです。

新人の頃は先輩に大切にされ、面倒を見てもらい、徐々に人間関係を築いてきました。

要するに、新卒からいた会社には自然と居心地の良い関係ができあがっていたことに気がついていないのです。

しかしながら、異なる企業では既に人間関係が存在します。

中途採用で入った以上、そういって長年かけて築かれてきた人間関係の中に入っていかなければならないわけです。

これに気が付かない人たちは「社内で疎外感を感じる」「なんだか居心地が悪い」「他の同僚に比べ、正しく評価されていない」という愚痴をこぼします。

ですが、よく考えてみればそれは当たり前のことだと気がつくはずです。

要するにあなたは新参者ですよね、ということなのです。

大手企業というのはそもそも新卒重視の体制です。

大量に新人を採用し、その中から生え抜きの幹部候補を見いだし育てていく。

そうやって社内のヒエラルキーを作り上げるのです。

しかしながら、外部から途中で入ってきた転職組は異物に過ぎません。

外様である転職組は、組織内でハブられるというのは当然と考えておかなければなりません。

会社が急拡大していない限りは、組織内での管理職の椅子というのは限られていますし、上にいくにつれ減っていきます。

出世レースという椅子取りゲームで不利な状況におかれるのは当たり前なのです。

それでは、なぜ大手企業は中途採用を行うのでしょうか?

それは、いわゆる穴埋めという意味合いが強いのです。

どんな大手企業でも脱落者や転職していく人というのは存在します。

また、やむを得ない事情で辞めなければならないケースというのもあるでしょう。

そういったときに社内からは人材が確保できない、という状況に対応するために中途採用を行っているのです。

よって、評価においては既に出世レースに組み込まれている他の同僚と比べ、不利になることは覚悟して転職すべきです。

たとえ、そういった環境におかれても最高のパフォーマンスを出せる、という人物だけが新しい環境でも高く評価されるのです。

大手企業出身者の弱み

名のしれた大手企業にいると、まるで自分自身までが凄くなったような錯覚にとらわれる人が一定数いるようです。

それはいわゆる「虎の威を借る狐」なのですが、本人はそれに気がついていません。

色々な場所で「あの会社に勤めているんですね、凄いですね!」とお世辞を言われ、チヤホヤされてきただけに、自分自身に対する評価も高くなっているのです。

しかし、転職市場において「大手企業に勤めていた」ことは高い価値を持ちません。

これは頭脳労働の職業でより顕著です。

何故かというと、大手企業ではプロジェクトの規模が非常に大きいため、ひとりひとりが大きな裁量を持てず、歯車として動いているケースが少なくありません。

例えば、同じような仕事でも10人のチームでその人が果たした役割と、1,000人のチームでその人が果たした役割を比べた時、前者の方が高い評価を受ける可能性が高いのです。

さらにいうと、大手企業出身者自身も転職活動に慣れておらず、うまく転職を行えないこともあります。

面接に慣れていないこともあるのですが、自分がやってきたことをうまく説明することができず、アピール不足で採用を見送られるケースが多発するのです。

これはある人の例ですが、面接官に担当したプロジェクトにおいて「○○を担当されたんですね、では、この△△の部分についてお聞かせ願えますか?」と問われたときに、「うーん、それは私の担当範囲ではなかったのでわかりません」などと答えてしまうようなことがあります。

プロジェクト自体は壮大で、大きな結果を残したものだとしても、その人が担当した範囲は非常に狭く、全体像を把握もしていないため、この人がいた意味があったのかさえ疑わしい、ということになってしまうのです。

大手企業は組織化されているので、役割の分担がはっきりしています。

それ自体は悪いことではないのですが、その役割分担が職務領域を狭め、年齢の割に経験が詰めていないという状況を生み出し、転職に不利になっているのです。

知らない間に特定の組織の特定の箇所でしかパフォーマンスを出せない人材になってしまっているのです。

そして、何より一番の問題は、組織に守られている時間が長すぎたため、その組織のやり方、常識に最適化されすぎており、常にこうすべきである、という凝り固まった考え方を持ってしまっていることです。

「A社ではこうしていたのに」という言葉はB社では何の意味も持ちません。

今までの自分の常識をリセットして考えなければいけないシーンで、うまく自分を切り替えられないため、環境に適応できず、だんだんとメンタルまでやられてしまう、ということになります。

自分の価値を向上していくためには、1社だけの価値観ではダメで、多くの経験を詰み、環境に柔軟に対応していく必要があります。

一つの企業に長くいるとしても自分自身でキャリアを考え、様々な環境に身を置いてきた人物こそが、他の会社でも活躍できる人材になるのです。

成長し続けることに必要なことは、どんな環境に身を置くかを常に意識し、自己成長に繋がる選択をし続けなければならない、ということです。