転職しない方が幸せだった?現場ができない人たちの話

「転職をしない方が良かった」と後悔している人たちには共通点があります。

その一つが「現場から離れすぎている」ことです。

管理職を長く経験しており、現場が解らなくなっている求職者というのは転職市場において価値がありません。

何故でしょうか?

今の会社で「課長」がついているとすれば、次の会社でも「課長」ができそうなものです。

しかしながら、転職市場においては、そのようなことにならないのです。

なぜかというとその人は「A社の課長」なだけで「B社の課長」をやれるわけではないからです。

40歳以上の管理職経験者に共通していることとして「自分は課長にまで上り詰めた、であれば他の会社であればもっとできるはずだ」というような自分の職歴に自信を持っていることです。

そういった人たちは上には上がおり「部長」や「本部長」という椅子までは狙えず、他の環境へのキャリアチェンジを考えます。

他の環境であればもっと上に上り詰められるはずだと信じているからです。

確かに24歳から働きはじめたとしても16年以上の経験を持っており、管理職として周囲には敬意を払われ、給与もそれなりにもらっているのですから、当然のことです。

しかしながら、「課長」という経験には普遍性がありません。

特に年功序列で給与が支払われている会社であれば、今あなたに支払われている給与は現在のあなたの価値ではないのです。

今のあなたのスキルに給与が支払われているのではなく、新卒の頃から積み上げてきた実績に対して功労賞として支払われている給与が多分にあります。

日本の大手企業のサラリーマンはジェネラリストであることを求められます。

ジョブローテーションという名のもとで、部署異動を繰り返し、幅広い職務を浅く経験しながら、やがて管理職となって現場から離れるわけです。

そうして現場から離れた人材はすでに現場が何をやっているのか解らなくなっています。

例えば私が経験した大手企業の部長の主な仕事は印鑑をつくことでした。

残業をしているように見えて何をしているかというと、パソコンでソリティアをしているのです。

本来であれば、彼は部の長として部の状況を把握し、適切な部の目標を決め、それを遂行するのが仕事の筈です。

しかし、現場を離れて長い彼にとって「部長とは単に承認する人」でしかなくなっていたのです。

要するに現場を離れて久しいと仕事らしい仕事をしなくなっている人が増えます。

今までの社内での貢献と年功序列制度から肩書と給与を得ているだけで実質的には無能化しているのです。

このようなことは大企業にはよくある話です。

元部長/元課長という肩書の無意味さ

「俺は○○という会社で部長をやっていた、であれば、新しい会社でも部長ができるはずだ」

そのように主張される求職者はたくさんおられますが、それは間違っているのです。

前述の通り「A社で求められる部長」と「B社で求められる部長」では全く意味合いがことなります。

要するにA社で部長の経験があるからB社で部長という仕事ができるわけではないのです。

採用する側にとって必要なのは、手を動かして活躍してくれるかどうか、です。

肩書を採用したいわけではありません。

ですから、過去のキャリアに固執して、それを全面に押し出してくる人に対しては成功するイメージが持てないのです。

そして、本当に手が動かせる人であれば、企業側も無理に手を動かすことは求めません。

多くの企業の管理職に求められることは戦場で前線に立って戦うことではないからです。

しかしながら、戦線とは全く異なる安全な場所で悠々自適に座っていて欲しい、指示をしてほしいということでもありません。

本当に求められていることは、現場のことを把握しながら、俯瞰して物事を捉え、現状の課題を発見し、解決まで持っていくという、采配を期待しているのです。

ですので、肩書にこだわるようであれば転職をやめたほうが良いです。

たとえ、部長待遇で転職出来たとしても、降格や退職勧奨のリスクの方が高くなるためです。

ここで一つの例をお話します。

Cさんは、35歳で営業部課長、40歳で営業部部長という順調な出世レースを勝ち抜いてきました。

しかしながら、そこの企業はある大手企業のグループ会社で、親会社の出世レースに敗れた人たちが天下りしてくることで有名で、社長、専務、本部長といったそれより上のポジションは親会社からの人材で埋められていました。

これ以上の出世が見込めないと感じたCさん、転職を考え相談に参りました。

「これこれ、こういう理由で転職を考えており、さらに活躍できる会社を探しています。私の部長の経験を活かせる会社はないでしょうか?」

「なるほど、わかりました。では、現在のCさんのお仕事と、活かせる経験を教えていただけますでしょうか?」

「うーん、そうですね。最近の仕事は部下が持ってきた書類などを確認し、内容が問題ないか見て承認することですね。あとは部には数値目標がありますから、部下にそれをどう達成させるのかを日々頑張っております」

「部下のかたの提案や業務の内容を承認されているのですね、また目標管理をされている、と。では、それは具体的にどのようにやられているのか教えていただけますでしょうか?」

「具体的、というのはどういうことでしょうか? 基本的に書類はミスがなければ通してます。目標も、厳守するように強く申し伝えてはいますが、そのあたりをお話すればいいでしょうか?」

この方が本来の部長としての業務を遂行できていないことがお分かりでしょうか?

彼がやっていることといえば、判子レースに参加していることと、部下に叱責していることくらいでしょう。

そして、どの会社もそのようなことをする人は求めていません。

こういう方が転職を試みるとまず失敗するため、私は現職に残られるように強く説得をしています。

企業が求めているのは会社を良くしてくれる人です。

ですから、転職をする際はあなたが新しい会社に対してどんなことで貢献できるのかを考えてみると良いでしょう。